早稲田大学韓国学研究所 WIKS | 第11回講演会シリーズ2015『韓日文化比較』
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About This Project

講演会シリーズ2015 『韓日文化比較』
11回 「韓国社会の血縁と家族-その歴史的展開」 嶋陸奥彦 先生

2015. 11. 12. (木) 19:30 ~ 20:30

韓国文化院ハンマダンホール(東京都新宿区四谷4-4-10)

講師紹介

嶋陸奥彦(しま・むつひこ / 東北大学名誉教授)

1946年、岩手県生まれ。1969年、東京大学教養学部卒業(文化人類学専攻)。1979年、トロント大学より博士号を受ける。韓国の家族・親族・農村社会などについて、フィールドワークと社会史資料の分析を組み合わせる歴史人類学。岐阜大学、広島大学を経て、2010年、東北大学名誉教授。2010~11年、ソウル大学教授。著書に『韓国 道すがら』、『韓国社会の歴史人類学』など。

概要報告

ラジオDJ、K-POPイベントMCなど幅広く活躍されている、韓国大衆文化ジャーナリストの古家正亨さんが「K-POPと日本」についてお話下さいました。

(1)これまでの韓国音楽と日本の関係

植民地期に日本のレコード会社がソウル支社を出し、演歌が独自の変化を経てトロットが生まれる。独裁政権下の韓国では発禁となったため、日本で活動し音楽技術を持ち帰ったところから様々なジャンルの歌手が出るようになる。韓国音楽というと演歌が主流だったが、2004年から韓流ドラマブームと相俟ってOST(オリジナルサウンドトラック)ブームが起こり、演歌以外の音楽が流行る。2005年の東方神起デビューでファン層を若い女性にも広げ、5年後の2010年にはKARAが日本デビューを果たしたことで韓流ファン以外にも広く認知されるようになる。

(2)徹底した「現地化」の光と陰

2000年代前半はワールドミュージック扱いされていたが、売れないのでアルバムに日本語で歌う曲を入れJ-POPとして販売することで知名度を高め、売上を伸ばしてきた。売るための「日本人化」は今も続いているが、なぜ韓国歌手だけが日本語で歌わねばならないのか。その根底には日本人の潜在的なアジア蔑視があり、音楽そのものの良さを伝えられれば現地化の必要性はなくなるとした。

(3)K-POPの地位確立と日本人の韓国観

中高年男性の「サブカル的、マニアックな趣味」から若い女の子の熱烈な支持を得るものへと変貌を遂げた背景には、インターネットで文化の多様性が進んだことによる日本人ポップアイコンの消滅がある。2010年以降、K-POP歌手が大挙して日本に上陸しチャートを占拠したことにより「サブカルの急激な台頭」が起こった。10年かけて定着したドラマとは異なり3、4年という短期間に若干強引に定着をはかったことも「嫌韓」の理由であると推測する。

(4)K-POPの現状

現在は南米で韓流ブームが起こっている。一方、近隣の中国やシンガポールでは、自国のアーティストを蹴散らすような活動と高額なチケット代が原因で、「人気はあってもお金にならない」状態である。そこで収入の8割を占める日本での活動が重要になるわけだが、内容の割に高い料金を設定するアーティスト側と内容に不満を持ちながらも応援の名目で支払ってしまうファンの共依存関係がみられるため、ファンとアーティストの距離感を考える時期が来ている。

(5)今後の日本におけるK-POP

地上波至上主義が韓国にあり地上波以外のテレビ局といい関係を築いているアーティストだけがTV出演を継続できているため、全体としてTVで見る機会が減った印象を受ける。2010年から2012年にかけてはK-POPにとって厳しい時期だったといえるが、猛プッシュ期が過ぎた今だからこそ、本当に楽しみたいファンを相手にwin-winの関係で、ネットではなくラジオで流し聞きする程度の気軽な楽しみ方ができるようになるのではと締めくくった。

会場は韓流ファンの方で満席になり、立ち見も出るほどの盛況でした。笑いもありつつ、アーティストとの距離感のお話などファンの方にとっては考えさせられるポイントも多かったことと思います。いいものを「いい」と認められる人が増えてきた一方で政治と文化を混同してしまう空気が広がっている日本と、メディアの影響を受け本当の日本観を表に出せない韓国との間での衝突が懸念されますが、古家さんの仰っていたように韓国に限らずメディアの伝える姿と実態の違いを伝えられるよう、若い方こそ「外国人と関わる、外に出る」姿勢を持ち続けていきましょう。

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Category
セミナー, 文化講座